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都心部の気流を1mの解像度でシミュレーション  ~スパコンを駆使し、10km四方の計算に成功~

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公開日:2012.10.09

【概要】

 東京工業大学学術国際情報センター (GSIC) の青木尊之教授と小野寺直幸特任助教らは、東京都心部の10km四方のエリアに対し、実際の建造物のデータをもとに1m間隔の格子解像度で詳細な気流をシミュレーションすることに成功しました。都市部は高層ビルが密集した複雑な構造をしており、気流(風)はすぐに乱流と呼ばれる状態になります。これを予測するには、1m間隔の格子を用いて広範囲に計算する必要があり、東京工業大学のスパコンTSUBAME2.0の殆ど全てのGPU4,000個を用いることでシミュレーションすることに成功しました。1m間隔という細かい格子を用いてこれだけ広範囲の気流計算を行った例は世界でも報告されていません。 これにより高層ビル背後の発達した渦によるビル風や幹線道路に沿って流れる「風の道」、台風の際の被害などが桁違いの精度で予測できるようになります。さらに、排ガス、事故やテロによる有毒ガスなどの汚染物質の拡散も詳細に予測できるようになり、国民生活の安全・安心に直接的に貢献できると考えています。 計算方法は大規模計算に適している格子ボルツマン法を用い、発達する乱流を計算するために広域的な平均操作を行わないラージエディ・シミュレーションのモデルを導入しています。詳細には、1mの格子間隔で水平方向に10,240×10,080格子、鉛直方向に512格子を用い、計算領域を4,032に分割して4,032個のGPUで計算しています。シミュレーションのプログラムはGPUでの計算用に高度にチューニングされており、4,032個のGPUを用いて600 テラフロップス(単精度計算)の実行性能が得られました。また、GPUの消費電力が少ないため、本シミュレーションは電力効率が1ワット当たり545 ギガフロップスであり、少ない電力(エネルギー)で目的の計算結果を得ることができました。 今後とも、東工大および本センターでは、TSUBAMEを使って社会貢献につながる更なる研究を続けて行く所存です。

 

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